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店と改修 

満席の日にも、ケーキを買って帰れる。中津「ナカツの器」の店主の話

古い梁を見上げ、二階を歩いたあと、ルームツアーのカメラは店主さんのところへ戻ってきます。建物を設計した人には、開店してからのお客様のことまでは話せません。中津の商店街で、誰がどんな用事でこの店に来たのか。今度はカウンターの内側の人が教えてくれました。

二階の床とカーペット
最初の店主は、小学生の頃からの夢を持ってきた。

席につく人だけが、お客様ではなかった

撮影時、店主は、テイクアウトのケーキに人気が出てきたと話しています。席が埋まっている時間にも、買い物をして帰る人がいる。カフェの広さを席数だけで考えていたら、勘定に入らなかった人の動きです。

客席でゆっくりしている人のそばを、商品を選ぶ人が通り、店の人が包みを渡す。その動きを想像すると、入口からカウンターまでの距離と、椅子のすぐ後ろに人がたまらないことにも意味が出てきます。これは店主が話した当時の様子を受けて、店舗設計の立場から考えられることです。

撮影の日、店主さんがよく売れると教えてくれたのはバスクチーズケーキでした。週末、席が埋まることがあっても、お菓子を買って帰りたい人には席は要りません。必要なのは、どこで品を選び、会計をして、包みを受け取れるかが分かる場所です。小さな店の中に、座って過ごす時間と数分で帰る時間が同居します。

二階の広い床と手すり
店を持たない人が、まず試す場所。

この店を目指して歩く理由

ナカツの器をこの通りに開いたのは、もともと人通りの多い場所だったからではありません。店主は撮影の中で、どんなお菓子をつくっているかをInstagramで伝え、それを目的に来てくれる方がいる、と説明しています。近くを歩いていて偶然見つける人ばかりではなかったのです。

初めて来る人が「ここで合っている」と分かることと、席に着いた人が落ち着けること。その二つを一緒に考えると、入口と奥の席で、外からの見え方を変える選択も出てきます。

小麦粉や白砂糖を使わない菓子作りのことをInstagramで伝えている、と店主さんは話します。通りに店をつくれば人が来る、という順序ではなかった。食べたいものを知った人が、この通りまで訪ねてくる。商店街を歩いて来た人が、入口で店内の様子を確かめられることにも意味があります。

一階の柱の列から通りを見る
一階は全面のテラス窓で、通りに開く。

小学六年生から、こちら側へ

店を持ちたいと思ったのは、小学六年生のころ。機会を待っているうち、知り合いからチャレンジショップの話を聞いて応募したそうです。その人がいま、どんなケーキがよく出るのかを自分の言葉で話している。建物の改修を振り返るとき、古い柱や松の梁のほかに、この場面も残しておきたくなります。

商品やお客様の様子は撮影当時のお話です。動画の後半まで進むと、空き家を手作業で解体した建物の話が、ようやく店を開けた人の話とつながります。

残した柱が並ぶ一階
既存の柱は一本も抜いていない。

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