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土地と窓 

廊下だと思ったところに、腰を下ろせる

「このカウンターは何するんですか」。北九州市の平屋で、聞き手が窓に沿って長く延びる台を指します。机なら椅子を何脚置くかで説明できますが、阿部の答えは一つに決まりません。座ってもいい。プロジェクターを置いてもいい。すぐ脇には、足を出して中庭へ行けるところもあります。

北の大きな窓から街と海が見える LDK。窓際に木のカウンター、左に黒いキッチン、黒いワイヤーのペンダント
北の窓から、街と海を見渡す LDK。

面積を足す前に、居場所を増やす

リビングを広くしたいと言うとき、広い一室にしたいのか、それとも家族がそれぞれ座れるところが欲しいのか。二つは似ていますが、図面にすると答えが違うことがあります。この平屋では、床面積を増やす代わりに、窓に沿って長く見通せる場所をつくりました。

ただ通り過ぎる廊下なら、途中にいる人は邪魔になりやすい。けれど、窓辺に腰を下ろす余地があれば、一人が景色を眺め、もう一人が中庭に向かうこともできます。家具を置く場所と人が通る場所を、初めから一緒に考えています。

図面で細長い場所に「廊下」と書いてしまうと、そこには道としての幅だけを求めがちです。この窓辺では、少し先まで視線が抜けるところに腰を下ろせます。リビングを一歩も広げなくても、部屋の端に一人が残れる場所が生まれる。その人は食卓の椅子を一脚借りてくる必要もありません。

LDK の北の窓越しに、斜面の下へ広がる街並みと、その先の海
北の窓の外に、街と海が広がる。

曲がり角から庭へ

カウンターをL字にすることで、窓の前で行き止まりにならず、脇から中庭へ出られます。プロジェクターを使う日には機器を置く台にもなる、と阿部は案内しています。同じカウンターでも、毎日そこで仕事をする机と、ちょっと腰掛ける場所では必要な奥行きが違います。

窓を開けたときの取っ手や、椅子を引いたときの通路まで描いてみると、使いやすい長さが見えてきます。窓際をきれいに見せることと、座った人がゆっくり過ごせることを、別の条件として確かめます。

機器を置くなら、どちらへ映すかで人の座る向きが変わります。中庭へ出るなら、同じ台の脇が通り道です。窓の下に一枚の板を付けるだけに見えても、コンセントの位置や、通る人の膝と座る人の足がぶつからないかという話まで含まれます。

上に間接照明が入った LDK の窓。外に白い外壁と隣の家並み
中庭に面した窓。カウンターから中庭へ出られる。

少し離れて、同じ部屋にいる

家族全員が食卓を囲む時間と、それぞれ好きな場所にいる時間。リビングにはどちらもあります。窓際に一人、キッチンに一人いて、同じ方向の景色を見られる。畳数を尋ねても答えに出てこない、この家の広さです。

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