庭と暮らし
庭を見る窓と、肉を焼く日に通る窓
北九州の和モダンの平屋には、庭に向かって窓が並んでいます。真ん中の二枚は、どれだけ景色がよくても開きません。左右にはちゃんと庭へ出られる窓がある。庭に面した窓を一枚ずつ見ていくと、ずっと座っていたい場所と、休日に何度も通りたい場所が見えてきます。

真ん中の窓を、開けない選択
北九州の家では、並ぶ窓のうち中の二枚を固定し、その左右から庭へ出られるようにしています。中の窓は景色を眺める場所。両側の窓は、バーベキューなどで人が出入りする場所。全部の窓に同じ使い方を求めず、見る場所と通る場所を分けました。
食卓に座ったときとキッチンに立ったときでも、見たいものの位置は違います。和室の窓はさらに低く、畳に座る人に合わせています。窓の大きさを決める前に、まず誰の目線かを考えた例です。
食卓の正面に庭が見えたとき、開け閉めのための線が視野のどこに来るか。写真ではサッシも庭も一枚の絵に収まりますが、椅子に座る人の目は、目の前の一本の線を案外よく覚えています。この家では、バーベキューのための出入口を左右に残せたからこそ、中央の眺めを優先できました。

庭へ持っていくものが多い家
一方、28坪の平屋では、庭に出ていた人が食材を取りに戻ります。軒の下から室内の土間へ、そのまま靴を履いて入れます。眺めのための開口に、皿や食材を手にした人が出入りする役割も持たせた窓辺です。
動きを考えるなら、窓の前に家具を置くか、両手がふさがっても通れるか、内側の床を汚れた靴で歩いてよいかまで見ておきます。出入りしやすければ、庭で食事をする支度も楽になります。
皿を持ったまま、いちど靴を脱ぎ、食材を取ったらまた履く。庭に出るまでの一往復でも、焼きながら何度も繰り返せば、ずいぶん面倒です。28坪の家の土間では、外にいる人がそのまま台所側の人と話せます。窓の先を庭まで描くと、家事の途中に人が行き来する景色が出てきます。

外に出ない日にも庭はある
外で食べる日は年に何度かでも、食卓でごはんを食べる日はずっと多い。全部を出入口にしなくていいからこそ、ふだん腰を下ろす場所から、気に入った庭をすっきり眺められます。庭に出る日と、ただ眺める日。この二軒がそれぞれに取った配分です。











