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光と素材 

冷蔵庫のある場所だけ、壁が丸い

北九州の平屋で、リビングから台所のほうを眺めると、木の壁が奥へ回り込んでいます。向こう側にあるのは冷蔵庫。料理する人の手が届く距離には置きたいけれど、食卓からいつもその側面が見えるのは惜しい。そこで冷蔵庫の位置は動かさず、こちらから見える角の形を変えました。

LDK。曲面のラワンの壁と、ラワンの箱に囲まれたキッチン
曲面の壁と、キッチンを囲む箱にラワンを使う。

冷蔵庫はそこにあっていい

料理をするなら、冷蔵庫はキッチンの近くにほしい。一方、リビングから眺めたときには、大きな家電がいつも正面に来なくてもいい。この家では、冷蔵庫を遠くに動かす代わりに、見る側との間に曲面をつくりました。

その面は裏も表もラワンです。どちら側を通っても木の面が続き、家電を隠すためだけに付け足した板には見えません。曲げて納められる材料という条件も、この木を選んだ理由です。

近づくと、表から裏へ木の肌が続いているのが分かります。冷蔵庫を四角い衝立で隠したら、今度はその衝立の角が目につきます。丸く回したのは、隠すために何かを置いた、と感じさせずに台所へ人を迎えるため。毎日この脇を通るのは、ほかでもない住まい手です。

ラワンの箱に換気扇を埋め込んだキッチン。手前に石目調のカウンター
換気扇はラワンの箱に埋め込み、線をそろえる。

木だけで色を決めない

ラワンには色味の違いがあります。ここではキッチンの色と並べて、ホワイト系のラワンを選びました。小さな見本で好みの一枚を選ぶだけでは、実際に隣り合う面の関係までは見えません。木の向こうにキッチンがある、この家の並び方で考えています。

木の表情は一枚ごとに異なり、経年で色も変わります。今きれいにそろうことと、この先に違いが出ること。どちらも自然の材料を使ううえで、住まい手に知っていてほしいところです。

阿部が撮影で手を止めて話すのは、ホワイトと呼ぶ材料でも、少し桃色に見えるもの、灰色を含んで見えるものがあることです。キッチンの前に立って比べると、一枚ずつの色の違いが分かる。木の名前を指定するだけで、この組み合わせが届くわけではありません。

テレビを置く白い壁と、その下に続く木の棚。窓の上に間接照明
テレビを置く壁。棚の受け金具は見せない。

扉を閉めたときの姿

同じ素材は和室の扉にも使われています。家族や友人が泊まることも、ご主人がひとりで過ごすこともある部屋です。リビングから少し離れた場所を閉じたとき、扉だけが目立たず木の面として見える。曲面を考えたときの素材選びが、別の居場所の落ち着きにもつながりました。

案内の途中、同じ木をほかにも使ったと聞いた聞き手が、どこですか、と尋ねます。答えは奥の和室の建具でした。冷蔵庫の前では、曲げられることが都合よかった木です。和室では、閉じた建具が一枚の壁のように見える。同じ板に、別の仕事を頼んでいます。

足元に低い窓のある通路。奥に曲面のラワンの壁とキッチン
和室の前の通路から、キッチンの方を見る。

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