間取りと家事
シャツ一枚のための、アイロン台。
北九州の平屋のランドリーに、アイロン台がある。お客様の仕事柄、シャツにはアイロンが欠かせないからだ。家事動線を短くしたいという希望はよく聞く。けれどこのご家族の場合、洗濯機から物干しまでの距離を縮めただけでは、仕事はまだ一つ残っていた。

洗濯機の先を考える
乾いたシャツをどこかへ持っていき、台を出して広げ、かけ終えたら今度はしまう。着るたびに繰り返すなら、余分な一往復はいくつも重なる。撮影でも、そこに服を置いてすぐアイロンをかけられるところまで、案内する人が実際の使い方として話している。
仕事に着ていく服と、家で着る服とでは、乾いた後の行き先が違う。カウンターをつくるか迷うなら、まず昨日干した服を思い出したい。ハンガーのまましまったものは何枚で、台の上で手をかけたのは何枚だったか。

棚の奥行きと、庭に見えるもの
ファミリークローゼットはすぐ近くに欲しいという希望があった。ところが、棚の奥行きは当初思うほど必要ないと分かった。ならば、その余地をどう使うか。壁の納まりを変えることで、リビングのエアコンの室外機を、庭を眺める側の反対へ出せることになった。
間取り図のランドリーの枠だけを見ていると、棚の奥に何があるかは見落としやすい。細くしても服の出し入れに困らない棚なら、その反対側に別のものを置く余地ができる。ここでは、その余地が家の外の景色にまで及んだ。

シャツの隣に、庭がある
もし設備の位置を後で決めていたら、キッチンからもリビングからも見える庭に、室外機がいつも目に入ったかもしれない。収納の奥行きを少し見直したことが、部屋の反対側から見る景色まで変えた。
この家のランドリーを見たあとで、もう一度北の窓を見たくなる。庭の前に何も置かれていないことには、普段なかなか気づかない。そこに置かずに済んだ理由の一端が、仕事に着ていくシャツを扱う、ごく日常的な場所にある。











