ホーム / 読みもの / 二階の床で足を止める。中津のカフェにある小さなガラス

店と改修 

二階の床で足を止める。中津のカフェにある小さなガラス

中津のカフェ「ナカツの器」の二階。カーペットを進んできた聞き手が「歩けるんですか」と、足元を確かめます。床の一部に強化ガラスが入っていて、一階の店内が見えます。ここはワークショップにも打ち合わせにも使う場所。下のカフェと分けたいところ、つないでおきたいところが、一枚の床に表れています。

ガラスの床と赤いカーペット
強化ガラスの床。上に乗れる。

店に人が来たことが分かる

ワークショップや打ち合わせの場所から、下のカフェの様子が見えます。上にいる人と下にいる人が同じ作業をする必要はありません。それでも、誰かが店に入ってきたことや、下で人が過ごしていることが伝わります。床全体を開く代わりに、関係を残すところを一部に限っています。

上下のつながりをつくるには、大きな吹き抜けを設ける方法もあります。でも、この建物では二階に使う床も必要です。どこでも座れるカーペットの面と、下が見える面。異なる役割を一つの階に並べました。

そのやり取りの途中、本当にお客様がやってきます。上で話をしている人にも、下で店が動いている様子が分かる。二階を独立した貸室のように閉じていたら聞けなかった会話です。一方で床をすべて開けてしまえば、靴を脱いで座る場所が減る。ここではガラスにする面を小さく選びました。

二階から見下ろす一階
上からは、店の様子がよく見える。

解体して見えてきた梁も、下から見える

古い松の梁を残した判断は、手作業で解体を進めたあとにしています。梁の組み方が見え、その姿を見てほしいという思いが生まれました。下から二階を見上げたときと、上からカフェを見下ろしたときでは、同じ木組みも違って見えます。

歩けるガラスは、この建物のために設計した床の一部です。別の店舗で採用するときは、寸法、荷重、支持の方法、滑りにくさなどを、その計画で確認します。見た目だけを真似て決めるものではありません。

ガラス越しに階下を見るのと、下から古い梁を見上げるのとでは、視線が反対を向きます。カーペットを敷いた新しい床と、解体中に価値が分かって残した松の梁。二階に座る人と一階で菓子を食べる人が、それぞれ違う位置から同じ建物に出会います。

二階の床の切れ目から見える梁
当時の組み方のまま、下からも見える。

どこなら、見えてうれしいか

客席の真上を透かすのか、店に入る人の気配が分かる位置を選ぶのか。その差は、ガラスの大きさ以上に居心地に響きます。人の出入りが分かるのは楽しくても、食事中ずっと上から見られる気分では落ち着かない。上下をつなぐ店舗を考えるときは、上からの眺めを楽しんだあとで、下の椅子からも必ず見上げたいところです。

ナカツの器の二階。赤いカーペットと螺旋階段
二階は曲面の床と赤いカーペット。靴を脱いで上がる。

家づくりの相談

土地のこと、暮らしのことから。
まだ具体的に決まっていなくても。

相談の日を予約する